綾戸智絵『BEST』

Best Chie Ayado

Best Chie Ayado

大人気綾戸智絵さんのベストアルバムです。


ぼくは綾戸さんのことは爆発的に売れ始める数年前、NHKの「ようこそ先輩」という番組で、
綾戸さんが母校の中学校に3日間訪れて話をする、というのを見て始めて知りました。
綾戸さんは確かガンか何かで一度声を失っており、必死の努力により、
再び発声ができるように訓練したそうです。だからいまでも話し声も歌声もかすれ声です。
また綾戸さんは結構破天荒な人生を送っており、母親が放任主義だったりして、
海外に渡ったり、黒人と結婚した末にDVが原因で離婚したりと、
なかなか厳しい人生をわたってこられているそうです。
その辺のことはwikipediaでもなんでも調べていただければいくらでも
でてくると思うので、興味がある方は調べてみてください。
(上は自分の記憶で書いているのでたぶんいくつか間違ってます)


まあ重要なのは綾戸さんの人生ではなく、綾戸さんの音楽であるわけで。
聴いてもらえればわかると思いますが、綾戸さんはかなり独特な歌い方です。
そして一度声を失っていることもあり、かなり個性的な声です。
「病的なかすれ声」というとちょっと聞こえが悪いですが、
事実はそんなところです。努力により再び声を出せるようになった、
というところに感嘆しますね。喉が潰れており、特別な声の出し方をしないと
本当に声が出ないそうなので、結果的に綾戸さんの個性的な歌声が生まれたのでしょう。


実はぼくは、綾戸さんの(失礼ながら)不自然で作りすぎたビブラートが好きになれませんでした。
いわゆるちりめんビブラートというか、トレモロというか、ものすごくビブラートの
振幅が小さいんですね。たぶん綾戸さんの声の問題と関係しているのではないかと思います。
それで綾戸さんが売れ始めて、「そういえばNHKでみたことあるなあ」と思い、
CDを買ったものの、声が好きになれず、ずっとCDラックの片隅に放置していました。


それを昨日久々に取り出して聴いたみたのですが、これがまたいいじゃありませんか!
声の表面的な側面のみにとらわれて、音楽を感じていなかったのかもしれません。
綾戸さんの歌は、音楽です。声そのものが音楽なのです。
そして声は魂です。魂は愛です。綾戸さんの歌には愛があると思います。
それほど力強く、心を揺さぶられるものがあると思います。


このベスト盤にはピアノの弾き語りから、リズム隊を加えたジャジーなものまで、
バランスよく収録されています。綾戸さん入門には最適かも。
久々にこのアルバムを聴いて、ほかのアルバムも聴いてみたいな〜、
っていうか生で聴きたいな〜!!と強く思いました。
せっかく日本で住んでるんだから聴くことできるよね。
チケットをとるのは難しそうだけど。聴いてみたい。
試行錯誤してみます。


ちなみにご存知の方も多いでしょうが、綾戸さんは関西人で、喋り方はモロ関西弁です。
苦労の上の明るさというか、苦労を感じさせない明るさというか、
もう光り輝くような明るさが綾戸さんにはあります。以下、ブックレットより。
「えっ、まだデビューして5年目に入ろうと…。そんな時に、もう!ベストアルバム!!でも既に私10枚もつくってるんですよね。忘れとったわ。ほんま選ぶのが大変でした。どれも一生懸命唄ってたし、「ベスト」っていわれるとほんま困ってしまって…。(後略)」
そんな綾戸さんは笑顔も超一級に素敵です。
こんな友達がいたらええやろな〜と思います。


というわけで、今回は綾戸智絵さんの紹介でした。
テレビやラジオにもよく出演されていると思うので、是非聴いてみてください。