ウィリアム・バードに関する話

久々の前日更新です。


ウィリアム・バード(c.1540-1623)はぼくがルネサンス期で最も好きな作曲家の一人。
彼の書くタイプの曲には二種類あって、信心に満ちた優しい曲と、
神への畏怖の念が込められた厳粛(でなんだか無常観に満ちた)な曲。
有名な「五声のためのミサ」などが後者の代表でしょうか。


バードはイギリス出身のオッサンです。
彼はカトリック信者だったので当時プロテスタントの勢力が強かった
イギリスの元では迫害を受けていたそうですが、エリザベス女王
カトリックに対し寛大だったので(カトリック信者だったという説もあり)、
バードを保護していたそうです。
そんなバードなので、彼の曲にはラテン語(カトリック用)のテキストによるものと、
聖書のテキストにとらわれない、英語のテキストによるもの(プロテスタント用)の
2種類があります。どちらもステキ。


というわけで、たまには合唱曲紹介。
とくにどの曲が好きというのはないのですが、曲名(っていうか聖書のテキストの
一部?なので同じ曲名のものはいくらでもあると思いますが)の響きが
気に入った「Ne Irascaris」(ネ・イラスカーリス=怒り給うな)。
この曲は前者の優しい部類に入る曲です。
終盤の各声部の「Jerusalem, Jerusalem, Jerusalem…」という繰り返しが印象的。



形態:SATTB
楽譜:http://wso.williams.edu/cpdl/sheet/byrd-nei.pdf
MIDIhttp://wso.williams.edu/cpdl/sound/byrd-nei.mid


他にもいい曲は沢山あります。
バード聴きましょうバード。
ポール・ヒリアーのTheatre of VoicesがバードのCDを出しているので
ほしいなーと思っています。ASINは、ザ・シックスティーンによるバードのミサ(5声・4声)
およびモテットと、タリス・スコラーズによるバードのミサ(4声)およびモテットのDVD。
後者はBBCが製作した、バードに関するドキュメンタリー付きです。
英語の字幕が出せるのでオススメ。でもさっきみたら全然英語についていけなかったよ。
帰国子女卒業ダナ。ではまた。