百田宗治「遠いところで子供達が歌ってゐる」

今日は詩の紹介です。

遠いところで子供達が歌ってゐる、
道路を越して 野の向うに、
その声は金属か何かの尖端が触れ合つてゐるやうだ。


一団になつて子供たちが騒いでゐるのだ、
戦ごつこか何かをしてゐるのだ、
追つたり、追はれたり
組んだりほぐれたりして
青い草の上でふざけ合つてゐるのだ。


おゝ晴れわたつた空に呼応して、
子供たちの声が私の窓にきこえてくる、
遠い世界のものゝやうにひゞいてくる、
私の魂はそれに相応ずる、
そのひゞきの一つ一つをきく、
はるかに支持し合ひ
保ち合ふ人生がきこえる、
おゝ私はその声をきいてゐる。


「金属か何かの尖端が触れ合つてゐるやうだ」という表現にはううむと唸りますね。
きゃっきゃっという、時には耳障りな、それでいて心躍るような、そんな
鋭い明るい響きが想像されます。そして、第二連では「…ゐるのだ」、
第三連では「…〜る(く)」という繰り返しが一つのリズムを作っていて、
子供達の躍動的な動きが連想されます。とてもいい詩ですね。


この詩は多田武彦(男声合唱の神サマ)があわせて合唱曲を作曲しています。
(というか、ぼくはその曲でこの詩を知りました…歌ったことはないんですけどねえ…
いい曲ですよねえ…歌いたいっすねえ…バリトンの単調なメロディーも
ハーモニーの中で歌うと楽しいんでしょうねえ…嗚呼。)
ところで、男声合唱といえば、慶應義塾ワグネル・ソサエティ男声合唱団。
東京の合唱団Rの先輩のYさん、そして、福岡の合唱団Pの先輩のHさんも、
ワグネルの卒業生です。(確認してみましたが、お互い知り合いではありませんでした。)
そのワグネル、実は過去の演奏会の音源が、ネット上ですべて(すべてですよ!
何十年分もですよ!全曲ですよ!4200曲ですよ)聴けるんですね。(保存は不可)
もちろん、「遠いところで〜」も聴けます。
…と思いきや、ワグネルの演奏ライブラリーで探したところ、
「遠いところ〜」(曲集『若しもかの星に』より)は見当たりませんでした。
ひょっとしたらぼくの持っている音源(Yさんに頂いたもの)は
定演の音源でなく、CDのために録音されたものなのかな?
その線で探してみたところ、メンネルコール広友会の演奏しかみつかりませんでした。
あれ?頂いたのはワグネルの音源ですよね??
出所がわかれば、教えて下さいませ。>Yさん
まあどちらにしろ、ワグネルの演奏ライブラリーは偉大なので、
一度聴いてみて損はないと思います。最盛期は第110〜120回あたりだそうです。
下がリンクです。聴いてみてね。


演奏ライブラリー(定演)