飛行機緊急着陸の安全姿勢に関する話
やあす。うちおです。
ついさっきまでCSのディスカバリー・チャンネルをみてました。
「怪しい伝説」(Mythbusters)という番組です。
これはディスカバリーの中でも傑作中の傑作の番組で、
「○○の地下ではワニが出没する」とか「コーラには避妊作用がある」とか
「エンパイヤステートビルからペニー(1セント硬貨)を落としたら地面のコンクリートに
めり込む」とかさまざまな都市伝説を、実際に実験器具を1から作りながら
科学的実験を繰り返し、最後のシメにその都市伝説を「confirmed」(真実)
「plausible」(それらしい)「busted」(ガセネタ)と評価する、というもの。
今回の都市伝説は、「飛行機墜落時に安全姿勢をとったら危険である」。
安全姿勢というのは、前のシートの背もたれに両腕でもたれかかるという、
よく飛行機の出発前に流れる安全ビデオで推奨しているアレです。
今回もさすがという感じで、航空会社からエコノミー・クラス、ファースト・クラスの
座席を購入し、実験台として衝撃テスト人形を入手、さらに改良を加え、
人骨に一番近い成分をみつけだし埋め込み、頚部損傷を評価するために
首を可動に改造する。そして実験土台は鉄棒から一から作り、
安上がりにするために、土台に固定したシートをクレーンで15フィート(4.5m)まで
吊り上げ、落下させるというものです。ちなみに15フィートというのは
計算から割り出された高さで、実際の墜落時の衝撃をシミュレートするに適切な高さとか。
実験結果は以下の通り。(頭にかかった重力加速度の値)
シート | 通常姿勢時 | 安全姿勢時 |
---|---|---|
エコノミー | 54G | 34G(見落とし、会話から推測) |
ファーストクラス | ―(54G?) | 43G |
客室乗務員シート(後ろ向き) | 87G | ― |
(頚部損傷の度合いも「キロオーム」(?)という単位で示されていたのですが、
書き取り損ねたので割愛します!上の値も間違ってたらスイマセン。)
実験の結果、エコノミークラスでは頭部への負担が約6割に軽減できることがわかりました。
ちなみに首が折れるのは100Gくらいなのでこの程度では死なないそうです。
またファーストクラスでは、座席の間隔が広いため「頭を膝に抱えてうずくまる」という
安全姿勢で実験。結果、頭が下の床にぶち当たりましたが、
衝撃は前にシートがあるときのように首が頭に反らないため、「タンコブができるくらいのケガ」
だそうです。
「頚部損傷」という観点から見れば、安全姿勢はファーストクラスでより効果を発揮するそう。
しかし問題は、いずれの実験(姿勢、座席の種類にかかわらず)でも、足が骨折したこと。
飛行機事故で亡くなる人の2割りは衝撃で死に、残りの8割は火災の煙を吸って死ぬそうです。
つまり足が折れると逃げられなくて結局生き延びられないと。
そういう意味では安全姿勢も決して安全ではないが、「考えうる限りもっとも安全」
な姿勢ではあるそうです。ちなみに客室乗務員のシートというのは、
機体の後ろの方に後ろ向き(飛行機の進行方向に背を向けている)に
固定されているシートのことですが、これがうけたのは87Gと最大。
ですが、スッチーシートには「ネックバンド」(?)と呼ばれ頚部を固定する
バンドがあり、頚部への負担は0に近かったです。
また過去の実験により、飛行機は後ろ向きに乗っているほうがより強いGに
耐えられるとか。なので87Gでも余裕。スッチーが一番安全ということです。
それではなぜすべての座席を後ろ向きに設計しないのか?ということになりますが、
後ろ向きに設計すると、よほどうまく計算して作らない限り、飛行機の破片が
(慣性で)後ろから飛んできて危ないからだそうです。なるほど。
今日の結果は、「安全姿勢はSAFEだ」ということで、断然「Myth busted!!」。
ただし足が折れるのは避けようがないので最も危険。普段から足を鍛えましょう。
ところでこの番組をやっているジェイミーとアダムはかなりの奇人
(ていうかジェイミーがいかにもアメリカ人って感じの奇人)で、
番組の最後には、なんとジェイミー含み番組スタッフ4人が実験台となり、
安全姿勢をとったときの実際の体への衝撃を確かめました。あり得ない。
ただしそのままの高さ(15フィート)ではあまりにも危険すぎるので、
1/3の5フィーと(1.5m)に。「…ドガシャーン!」結構すごかったです。
シートがぶっこわれた。でもジェイミー含め3人とも無事でした。
ただし2人は足を強打しかなり苦悶の表情。
折れてはいなかったものの、かなーり痛そう。
それでも「これならまだまだ上からでもいけそうだぜ(笑)」と強がっていたのが
いかにも面白かたったです(笑)
ちなみに航空会社としては、首が折れて死んでもらったほうが慰謝料だけで済むので、
障害を追って後々まで治療費を払い続けるより安くすむそうです。
ということは、ホントはみんな死んでもらったほうが安くていいということですね。
とにかく面白い番組です。英語の勉強にもなるのでぜひ見ましょうー。