百田宗治「樹のぼり」

詩の紹介です。
数日前に紹介した、百田宗治の詩です。

桜んぼの熟つて*1ゐる樹の下で
僕は村の子供達と遊んだ。


僕の好きな女の児の髪は
熟れた麦のやうな匂ひがする。


梯子をのぼつてゆくその児の後*2から
僕も下手な樹のぼりをして行つた。


皆が下の方で囃してゐる。
僕は僕の採つた桜んぼをその児の笊*3に入れて遣る。


桜んぼの熟つてゐる樹の上で
僕はその児と仲よしになつた。


その児の髪は熟れた麦の匂ひがした。
どうやらその時から僕の頭髪*4も熟れた麦の匂ひがする。


どうですか?最後の最後で「ねーよwww」とつっこんでしまいたくなる詩です(笑)
熟れた麦の匂ひ、などと言うと詩的で甘美な感じもしますけれど、
これが甘いシャンプー、とかだったら間違いなく変態ですね(笑)
明らかに妄想的な詩なんですが、ぼくは好きですね。
ちなみにこの曲も多田武彦男声合唱曲を作曲しています。
この間紹介した「遠いところで子供達が歌ってゐる」と同じ曲集、
『若しもかの星で』の三曲目です。いい曲ですよ〜。
曲で聴くと、なおさら「ねーよwww」とつっこみたくなる感満載です(笑)


それではまた。

*1:なって

*2:あと

*3:ざる

*4:かみ